浅間高原の植物


 浅間山周辺の植物
 浅間山(標高2,568m)は、現在も活動を続ける日本でも有数な活火山です。黒斑山と前掛山と呼ばれる外輪山が2重に連なり、中央に新しくできた釜山と呼ばれる中央火口丘がある3重式火山です。
 ここより西に連なる烏帽子火山群には、高峰山(2,106m)、篭ノ登山(2,227m)、桟敷山(1,915m)、湯の丸山(2,101m)、烏帽子山(2,065m)や角間山(1,981m)など2,000メートル級の山々があります。これらの山々の北側(群馬県)には、標高800メートルあたりまで広大な高原が広がっており、一般的にはこの一帯が浅間高原と呼ばれています。
 
 気候的には、表日本、裏日本の海洋性気候と異なり本州中央高原型気候域であり夏でも涼しく、日中と夜間の気温較差も大きく冬はマイナス20℃位まで下がることがあります。雨量は年間1,300o位、積雪は浅間園付近で、50pほどで多くは積もりません。
 浅間高原には落葉広葉樹林や針葉樹林が広がり、また草原や湿原さらには、高山帯までも含まれますが、浅間山の活動のためにこれらの植生もその影響を受けさまざまな変化をみせてくれ火山荒原からの植物群落の移り変わりが一目で観察できます。

 溶岩・砂礫地でよく見られる植物
 溶岩や砂礫地は肥沃な土壌も少なく、また風雪も厳しいので植物にとって良い環境ではありません。しかしこのような環境に上手に適応した植物がたくさん見られます。これらの植物の多くはガンコウランやツガザクラのように背が低くカーペット状に広がっているのが特徴です。 

ミネズオウ(5−7月) イワカガミ(5−6月)
ツガザクラ(5−7月) イワヒカゲ(6−7月)
コメバツガザクラ(5−7月) ヒカゲツツジ(4−5月) アズマツリガネツツジ(5−6月) コヨウラクツツジ(5−6月)
ヒメシャジン(7−8月) ネバリノギラン(6−8月) ミヤマコウゾリナ(7−8月) ヤマハハコ(7−9月)
イブキジャコウソウ(6−8月) グンバイヅル(7−8月) コメツツジ(7−8月) シャジクソウ(7−9月)
コキンレイカ(7−8月) イワインチン(8−9月) オンタデ(7−8月)

 草原でよく見られる植物
 草原は草花たちの宝庫で、じつに多くの種類が観察できます。やや低地の草原ではオミナエシ、カワラナデシコ、キキョウなどが、そして少し高い草原にはハクサンフウロ、マルバダケブキなどが私たちの目を楽しませてくれます。またヤナギラン、マツムシソウなどは見事な群落を作ります。

アズマギク(5−6月) クガイソウ(6−8月)
ハクサンイチゲ(6−8月) オカトラノオ(6−8月)
スズラン(5−6月) キバナノヤマオダマキ(6−7月) シモツケソウ(6−8月) レンゲツツジ(6−7月)
キキョウ(8−9月) ハンゴンソウ(7−8月) コウリンカ(7−9月) カワラナデシコ(7−9月)
マルバダケブキ(7−9月) トモエシオガマ(8−9月) アキノキリンソウ(8−10月) エゾリンドウ(8−10月)
ヤナギラン(7−8月) マツムシソウ(8−9月) ハクサンフウロ(7−8月)

 林床・木陰でよく見られる植物
 日光のあまり当たらない林床や木陰にも、そのような環境にあった植物が見られます。ここにはそういう草花を集めてみました。春早いシロバナエンレイソウ。初夏のベニバナイチヤクソウ。夏のウバユリ。人目を忍んでひっそり咲くこれらの草花もすてがたい魅力があるものです。

シロバナエンレイソウ(4−5月) ヤマシャクヤク(5月)
エイザンスミレ(4−5月) コミヤマカタバミ(5−6月)
フデリンドウ(4−5月) ハシリドコロ(4−5月) ギンリョウソウ(5−7月) ツバメオモト(5−6月)
ベニバナイチヤクソウ(6−7月) ウバユリ(7−8月) シキンカラマツ(6−7月) ヤマジノホトトギス(7−9月)
レンゲショウマ(8−9月) フシグロセンノウ(7−10月) サラシナショウマ(8−10月) アケボノソウ(8−10月)
クワガタソウ(5−7月) ツマトリソウ(6−7月) ミツバオウレン(6−7月)

 観 察

 似ている植物の見わけ方
 なかなか植物の名前が覚えられない。そんなときは似たもの同士を覚えることが早道です。植物の中には似たもの同士がたくさんあります。そこでここでは浅間高原で見られる似たもの同士を集めてみました。

ヒトリシズカ(4−5月)
4枚の輪生状の葉から1本
の花序が出る。
フタリシズカ(4−6月)
4枚の輪生状の葉から2本
以上の花序が出る。
アズマシャクナゲ(5−6月)
花はピンク、葉の裏は淡褐色の毛が密生。
ハクサンシャクナゲ(6−7月)
花は白色、葉の裏は淡い緑色で縁は内側に巻き込む。
ツリフネソウ(7−9月)
湿地に群生し花はピンク。
葉の鋸歯が細かい。
キツリフネ(7−9月)
ツリフネソウと同じ様な所に
生え花は黄色。葉の鋸歯は
細かくない。
ニッコウキスゲ(6−7月)
花はオレンジがかった黄色。
ユウスゲ(7−9月)
花はレモンイエローで、より低地にも生える。
コオニユリ(7−8月)
草原に生え、葉は輪生に出ない。
クルマユリ(7−8月)
より高地の草原に生え、葉が輪生に出るため車ユリという。
シラヒゲソウ(7−8月)
花弁の縁は細かく切れ込む。
ウメバチソウ(7−8月)
花弁の縁は切れ込まない。
ツリガネニンジン(8−9月)
葉は輪生。花は鐘形で雌しべの先が突き出る。
ソバナ(7−8月)
葉は互生。花はラッパ状に開き雌しべの先はあまり突き出さない。
ハクサンチドリ(6−7月)
花びらの先は鋭く尖る。
テガタチドリ(7−8月)
花はより多く、花びらの先は尖らない。
アヤメ(5−6月)
花の黄色の部分に紫の筋が目立つ。葉の中央のふくらみがない。
ノハナショウブ(6−7月)
花の黄色の部分は小さく、葉の中央の脈はふくらむ。
オミナエシ(8−10月)
花は黄色。秋の七草の一つとして有名。
オトコエシ(8−10月)
花は白色。より低地の草地にも見られる。
オタカラコウ(7−9月)
葉はフキの葉に似て心円形。花弁(舌状花)は8枚位。
メタカラコウ(6−9月)
葉は心円形だが角が尖る。花弁(舌状花)は1〜3枚。

 実を見つけてみよう
 とかく植物は花ばかり注目されますが、花の終わった後にきれいな実をつける植物があります。ここでは浅間高原で見られる実を集めてみました。

コケモモ クロマメノキ チョウセンゴミン ツリバナ カンボク
シラタマノキ ツバメオモト ツルウメモドキ マユミ オオカメノキ
ガンコウラン ゴゼンタチバナ ツルリンドウ ニシキギ ナナカマド
タケシマラン マイヅルソウ オニヒョウタンボク ムラサキシキブ サワフタギ

 

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